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葉月日記

葉月日記

☆歩き方

※この文章は、2006年度 某区の消費生活通信講座のテキスト「ウォーキン
グ」~もっと気軽に運動してみよう~用に書いたものです。



7.歩き方について
 
 よく、正しい歩き方を教えてくださいと言われることがあります。また、

講習会の主催者からも「正しい歩き方」についての要請がしばしばありま

す。

 考えてみると、スキーやスケートのすべり方、泳ぎ方、ボールの投げ方な

どは、人から教わったかもしれませんが、こと歩き方に関しては、特に教わ

ることもなく、1歳前後のある日、1歩2歩と歩き始め、その後、ほぼ毎日

のように歩いているのですから、それこそ皆さんは、歩行暦ウン十年のベテ

ランというわけです。
 
 一方、競歩の選手、ファッションモデル、能、謡い、舞踊家などは、歩く

ことについて、日々、研鑽を積み、練習を重ねておられることでしょう。

 多くの人の歩き方を注意深く観察してみると、実に様々です。ところが、

競歩のトップレベルの選手は、皆、ほとんど同じフォームで歩いています。

競歩には、常にどちらかの足が地面についていなくてはならない・着地の

際、膝を曲げてはならないという厳格なルールがあります。そのルールを守

り、最も合理的に速く歩く事を追求した結果行き着いたのが、あの競歩の独

特のフォームといえます。

 私たちが普段歩く場合は、厳しいルールもありませんし、タイムを競うわ

けでもありません。これこそが、正しい歩き方だ!というものに統一する必

要は、全くないと思います。一人一人の身体の状態や目的によって、歩き方

は違ってくるものだと思います。

 けれど、ここでご自分の姿勢、歩き方を一度見つめなおして見ましょう

か。習慣になっている姿勢や、歩き方が、体の歪みやコリを助長させている

こともあります。少し意識するだけで身体は随分変わってくるものです。
 
(1)よい姿勢で立つ 

歩く姿勢は、まず立ったときの姿勢が基本になります。

・両足の踵をつけてつま先を少し開き、足の裏全体に体重がかかるようにし

て、真っ直ぐに立ってみましょう。

・両肩を耳に近づけるように持ち上げて息を吸い、続けて息を吐きながらゆ

っくりと肩をおろします。

・おへその下を少し引っ込めるような感じで、軽く力を入れます。

・頭のてっぺんを引っ張られているようなイメージを持って前を向きます。
こうして立ったときの姿勢をチェックしてみましょう。前から、横から、後

ろからとどなたかに見てもらうとよいでしょう。

● 前から後ろから見たとき

・頭は、真っ直ぐか。

・肩の線、腰の線は左右水平か(写真1)

● 横から見たとき 

・足のくるぶし、膝、※大転子、肩、耳が

床から垂直に一直線上にあるか(写真2)

・反り腰になっておなかを突き出していないか
(写真3)

・猫背で、顔や肩が前に突き出していないか
(写真4)  

※大転子→お尻の横の脚の付け根の骨

壁に背を向けて立ち、踵(かかと)から頭までを壁につけてみましょう。

● 反り腰

腰と壁の間に隙間がたくさんある人は、反り腰になっているかもしれませ

ん。壁と腰の間に手を差し込んで、その手をつぶすように腰を壁に押しつけ

てみましょう。10センチほど壁から離れて、膝を少し曲げるとやりやすい

でしょう。背中と頭も壁から離れないように気をつけて行いましょう。お尻

とおなかを引っ込めて収めるような感覚をつかめましたか。

反り腰の姿勢は、腰に負担がかかり、腰痛をおこす原因になることもありま

す。おへそとお尻を引っ込めるようにひきしめて立つよう、常に意識しまし

ょう。

● 猫背

 壁と頭の間に隙間がたくさん空いてしまった人は、背中が丸まり、猫背に

なっているかもしれません。おなかを引っ込めるように力を入れて肩甲骨を

少し後ろに寄せて下げるようにし、頭を壁に近づけてみてください。

骨粗しょう症で、脊椎の椎間板がつぶれて背中が丸くなってしまっている場

合もあります。

その場合は、無理に背中を伸ばそうとするとあごが上がって頚椎を圧迫した

り、腰が前に出てバランスが崩れたりしますので、無理はしないようにしま

しょう。そのような場合も、筋力トレーニングで体幹部(胴体)の筋肉を鍛

えること、体操やストレッチングで全身をほぐすことで、随分背中も伸びて

きて、自然によい姿勢に近づいてきます。高齢になって腰や背中が丸まって

しまった人が、体操をはじめたら、背中が伸びて、杖が要らなくなったとい

う人を何人も見ました。高齢だからとあきらめず、徐々に身体を鍛え、ほぐ

していきましょう。


(2)基本の歩き方・・・気持ち良く歩こう(写真5)
 
・まず、肩の力を抜き、下腹に少し力を入れた良い姿勢で立ち

 楽に歩き始めます。

(下腹を軽く引っ込めるように少し力を入れることは腰や股関節を守り下半

 身を安定させますので常に意識する癖をつけるとよいでしょう。)
 
・足の裏を意識します。

(かかと→足の外側→小指の付け根→親指の付け根→親指の順に重心が移る

 一連の動作「足の裏のローイング」を感じ、しっかりと蹴りましょう。)
 
・足は、真っ直ぐに前に出すような気持ちで歩きます。

(歩くスピードが上がれば右足と左足の間隔(歩隔)は狭くなり、そして歩

 幅は広がってきます。)
 
・腕は楽に振りましょう
  
(意識して後ろへも振るようにしてみましょう。スピードが出てきたら、肘

 を折り曲げてリズミカルに振りましょう。)
 
・頭を上から引っ張られているような感覚を持って前を向いて歩きましょ  う。


(3)膝や腰にやさしい歩き方と鍛え方・・・無理なく歩こう

・膝や腰に痛みがある場合は、無理に大またで歩こうとして歩幅を広げた

り、スピードを上げたりすると症状を悪化させてしまう恐れがあります。歩

幅をあまり広げず、一歩一歩に体重を乗せて歩くようにしましょう。

・歩くと膝が痛くなってしまう人は、両手をイスの座面やテーブルなどにつ

いて足踏みをしましょう。膝にかかる負担が軽くなります。また、大腿四頭

筋トレーニングで、太もも前の筋肉を強めていくことをあわせて行うように

すると良いでしょう。方法は、床に長座し片脚を伸ばしたままゆっくり10

~20センチほど上げて5つ数え、ゆっくり下ろす。これを片足ずつ続けて

10回行います。慣れてきたら、一日に2~3セット行いましょう。

 痛みの激しい急性期を過ぎても、身体を動かさず、安静にしているだけで

は、決して状態は良くなりません。少しずつできることから身体を動かし

て、少しでも良くしていきたいものです。

・腰の痛い人は、腹筋を鍛えることを同時に行いましょう。イスに浅く腰掛

け、お臍をのぞくように下腹を引っ込めながら背もたれにぎりぎりに上体を

後ろにゆっくり倒し、ゆっくりもどします。顎が上がらないように気をつけ

て、下腹を意識して行いましょう。呼吸を止めないように気をつけて、10

回ほど繰り返しましょう。慣れてきたら一日に2~3セット行いましょう。


(4)エネルギーを消費し、シェイプアップ効果のある歩き方
             ・・・ダイナミックに歩こう

・みぞおちの後ろ辺りから「脚」という気持ちで、一歩ごとに骨盤の片側を

前に反対側を後ろに回すように下半身をツイストし、骨盤からの推進力で脚

を運びます。

・足は左右の中心線をはさむように並行に真っ直ぐ前に出しましょう。

・一歩一歩頭が上下しないよう、すべるように滑らかに連続的に脚を運びま

す。

・肩は骨盤と同じくらい前に出すようにし、背筋は伸ばし胸をはります。

・肩の力を抜き、腕は90度くらいに折り曲げて、軽くリズミカルに振りま

す。特に後ろへの振りを意識しましょう。

 この歩き方の特徴は、骨盤の動きにあります。普段の歩きでは、左右の骨

盤がそろって前を向き、脚は太腿の付け根から前に出て、おへそは常に正面

を向いているという感覚だと思います。主に使う筋肉は、ふくらはぎの部分

です。ところがこのエネルギーを消費し、シェイプアップ効果のある歩き方

では、右足かかとが前に着地して左足で後ろの地面を蹴っている時、右の骨

盤が前へ、左の骨盤が後ろへ行き、おへそが左を向きます。一歩ごとに左右

の骨盤が前後に動き、おへそが左右に向きを変えます。骨盤の動きに伴い、

歩くほどに肩甲骨まわり、ウエスト部分、お尻、太腿の後ろ、ふくらはぎ等

の、多くの筋肉が動きます。この歩き方をマスターすれば、長い時間速く歩

き続けることができ、更に、ウエスト、おなか周りのシェイプアップ効果も

期待できます。



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